ワイヤークラフト&アート

ワイアークラフトマスター講習のご案内。(wireなので正確にはワイアーなのですが、便宜上タイトルのみワイヤーと表示しています。)

なにをつくるのかということ。

最近はあまり使われないかもしれないけれどマーチャンダイジングという言葉があります。僕が若い時には、商品企画というように習った記憶があるんだけれど、要するにそのビジネススタイルでどういった商品をどう扱えばいいかというような意味。

 

アクセサリーだったら、どういった対象顧客にどういった商品をいくらぐらいで作ってどう売るかを総合的に判断して、具体的なプロダクトデザイン(商品企画)をするということです。

 

でも、作家からすると、まず自分発信の作品自体が偏っているので、その出来る範囲でという注釈が付くことになります。まあ、何もかもがフリーの白紙状態で意見を寄せ合うよりも絞り込みがしやすい面もありますが。

 

僕の場合だったら、基本は女性向けで10代から40代の個性的なおしゃれをしたい、またはしている方が対象。素材が銀、チタン、金、それに最近は真鍮(予算の関係で)といった金属素材をベースに天然石のルース、原石、ビーズをあしらってアクセサリーを作ると言うことになります。

金やプラチナが中心では無いので、販売価格も数千円から数万円程度。

ジュエリーというよりはアクセサリーというジャンル。

お客様からのリクエストでその場でお作り出来るワイアークラフトと、出来上がった作品そのままか、もしくは多分にお任せオーダーで作るメタルワーク(彫金)の2種類。

 

ワイアークラフトは結構定番デザインもあるんだけれど、意匠を凝った作品はお客様のイメージ通りになるとは限らないし、僕の作るイビツザイクに至っては僕自身も作る過程で当初の思惑通りに出来上がるかどうかも甚だ疑わしいといった代物。

 

今、このワイアークラフトマスター講習を受講されている方々もカリキュラムは進めど今後、何を作ればいいのか、どういったビジョンを描けばいいのか分からない。といった状態。

この辺りは本当に僕の力不足を感じています。

実際問題、考え方は提示出来ても、これをこういった素材でこのくらいの金額設定で作って、こうやって売ったらいいんじゃないかな、等という事は出来ない相談。

最近こんな作品作ったんですけど、zenjuさん、どう思います?

と聞かれれば僕なりの参考意見は言えますが。

結局は、作者(受講生)が自分の作りたいもの、自分が身に着けたいものを作って、じゃあそれの価格帯はこれぐらい、そうすると制作コストをどうクリア―するか、販売方法というかこういった展開が可能なんじゃないの。といったアドバイスしか出来ない訳です。

 

パテシエや料理家、イラストレーター、陶芸家、アニメーター、人形作家、家具職人、どんなジャンルでも大概はそうなんじゃないかなと思います。

タレントや歌手、俳優なんかだと本人の描いた姿とプロダクションや演出家、脚本家とかが全く異なるイメージで、君、今日からこれやりなさいということもザラにあるはずだし。

そういった面では、活動の大部分が自分発信といった我儘が通る世界。

 

個人で活動している方にはいつも言うんだけれど、何でも作りたいものばっかり作ってもそれで生活できなきゃ意味がないと。

自分が考えて作ったものが売れても、ハッキリ言って偶々時流に嵌っただけ。

そして、多くは継続性が無い一発限り。

企業では、マーケッティングして、取りあえず今ならどんなものを世の中に提供すればこのぐらいの売り上げは読めるよねと言うところから始まる。そこで、顧客対象、展開方法、商品価格、製造手段、制作者と広告宣伝担当と販売現場の責任者の意見を重ねて、そのフィルターを透過した企画だけが具体的に予算を組める。元々、たたき台として用意した商品デザインを色、素材、形状、サイズ、テーマ何かを全て洗い直して新商品として世に出す。

そこには、作者が作りたいものなんて甘っちょろい部分は何処かに行って、その代り、在る程度の成果を見いだせるというシビアなお話になる訳です。

漫画や小説がドラマになるとオリジナルと違ったものになるのもこういった要素が入り込むからですよね。プロジューサーが主役を人選してそこから全てがアレンジされる。

 

でも、この現実を意識しているかそれとも無恥で居続けるかは大きな違い。

 

自分から出てきたアイデア、デザイン、芸術作品?が全て商品になる訳ではない、多くは一人よがりなもの。その作家として、芸術家として将来も活動したければ、結局は経済的な裏付けを貼り付けられなければ無意味。

自分の部屋か店に飾って、知り合いが来るたびに、その人の意見も聞かずに、「これいいでしょう、僕天才、気に行ってるんだ(笑)。」とやって、こいついつもこれだ、相変わらず馬鹿だなあと冷笑されるのがオチ。

 

企画の基本はやはり5w2h。

what(何を)、why(なぜ)、when(いつ)、who(だれが)、where(どこで)、how(どうやって)、how much(いくらで)。一つの商品(=作品)を世に出すには、考えなければならないことは山ほどあります。

 

そして、企画段階や見本が出来た段階で、これは下手に見せられない、アイデア盗まれちゃう、真似されたら困る。とか考えないで、痛い目(やって見たけど評価されない=売れない)を見る前に、身近な人にどんどん見せて、辛い評価を得ることが成功(売れる=作家として生活できる)への近道だと思います。

 

絞りに絞った素晴らしい作品を褒めて買って下さる方は究極化すればするほど比例して少なくなる。多くの方の拍手と収集欲を満たした作品だけが作者の作家活動を支えてくださるのですから。

 

まあ、僕の言葉は己への問いかけである点が、自身の一番の課題ですけれどね。

(´_ゝ`)クッククク・・

 zenju