プロ?アマ?
プロを目指すような人は我が強い人が多いです。
誰でも自分の考えや行動、スタンスというものに、私はこうですという自覚が在ってそれが殆どの行為や発言へのベースとなってるんだと思うんです。
でも、自意識過剰はいただけません。
あっ、発する言葉は同時に自身に対しても言っている訳ですので、悪しからず。
僕たちがやっているアクセサリー作りもなかなか厳しい環境に在りますけれど、自分がプロかどうかというのはそう自覚した瞬間からです。弁護士資格、医療免許や調理師免許のようなライセンス(国家免許以外はライセンスとは呼べません)資格制度ではないので、今日からプロと宣言すればプロです。
一応ね。
プロという言葉の響きからすればちょっと憧れの存在という意味を含みますけれど、現実は中々そうもいきません。
僕はプロとアマの違いをこう考えます。
実は僕は30歳から7年間、プロボウラーとして活動していました。プロ協会のプロテストに受かってプロ登録するとプロ協会(JPBA)のメンバーとなり、日本の何処のボウリング場でもプロとして扱っていただけ、プロトーナメントに出場して入賞すれば僅かながら賞金を獲得できる。ボウリング場でプロショップ(ボウリング用品の販売店)を開いたり、レッスン料を稼いだり。他所のボウリング場に呼んでいただいてお客様(アマチュアボウラ―)と一緒に投げてギャラを頂いたり。
トレーニング以外に練習とレッスンで毎日30~70ゲーム投げていたんですよ。パーフェクトゲームは生涯で19回出しました。
まあ、アマチュアでも300点を試合で出した事が無ければ上級者とは言えないけれど。
僕はプロ級なんですよ言い張るアマチュアが時々いますけれど、プロテスト受かって登録しなかったとか、プロトーナメントにアマチュアで上位入賞しない限り、何言ってんだかと言われてしまいます。
この辺りはゴルフやテニスなども同じような感じですね。
ボウリングとの大きな違いはトップクラスの選手に付くスポンサーやCM契約料などで、これは業界自体のメジャー度が違うのでどうにもなりません。
でも、毎年、新人プロスポーツ選手はデビューするけれど、専業だけで稼げる選手はごく一部です。
話を戻して、手作りや芸術作品を作って売って自力で生活することが出来れば客観的にもプロとして通じるでしょう。自分で宣言しただけでは第三者からは、あっそう。と言われてしまいますよね。
今の日本では、サラリーマンの平均年収も400万円程度に下がっていますし、年齢に拘わらず年収300万円以下の大人も多い時代です。
国民一人当たりの平均年収は324万だとか。
作品の完成レベルだけではプロアマは関係ありません。良い素材で充分な時間を掛けてすばらしい作品を作っても、それが売れなければ客観的に認められたことにはなりませんし、利益を極端に削った価格設定で売っても意味がありません。
安ければ簡単に売れますし、卸しの話が来ても5掛けとかの話に乗りにくい訳です。
貴方の作品を是非私のお店で扱いたいので委託してほしいとか言われるのが関の山です。
誰でも、本当に利益を上げられると思ったり、本気で扱いたければ買い取るのが普通です。
外国で見つけたり、材料を買ったりするのには現金買取が当たり前ですからね。
委託してほしいと言う事は、そのお店では売れるかどうかはやってみなければ分からない、自信がないという表れです。買い取りがリスキー。立場を変えればそのお店の為に作品を作って渡すのは自分もリスキーということになります。
安いから買っていただけるお客様は育ちません。いずれ自分の作品のグレードが上がったり、お店を開店したりした時には同じ価格設定が出来ないので、それまでの客様の殆どは離れて行きます。
大人のビジネスとは言いにくいですよね。
やはり、作るスピードや在る程度の完成度で作ったものを売って生活できてこそのプロ。
500円の作品だろうが、100万円の作品だろうが、継続的に作って売って、実質年収400万円以上(サラリーマンの平均年収)を得ることが目安じゃないかなと思います。
確定申告に税務署に行っても、低所得者なので大して書類に目も通されませんけれどもね。
東証一部上場企業なら従業員一人当たりの売り上げは5000万円前後が普通です。
それでも、ランニングコスト(企業の維持費)が大きいのでサラリーマンの年収は300~1000万円ぐらいにしかなりません。最近では企業の課長以下で1000万円越えのサラリーマンは少ないでしょう。
最近のサラリーマンの平均年収は400万円程度。
一世帯あたりは540万円程度。
上場企業の役員の平均年収は2800万円程度。
個人事業で実質年収400万円だと、制作場所の家賃、材料、道工具の経費、消耗品費、販売経費、移動交通費、クラフトやイヴェントへの出店料、アシスタントを使っている場合はそのギャラ。等を考えると、スタイルによって違うでしょうけれども、大方、1000万円以下の売り上げでは難しいのではないでしょうか。
業種によっては3000万円売っても400万円稼げないようなことも在るでしょう。
つまり、年間に1000万円相当以上の作品を作り、売り、400万円以上を稼ぐことを継続しなければなりません。
例えば、
年間を通じてクラフトショーに50日間出て平均4万円の売り上げで年間200万円。
月に6日間、百貨店やウイークリーショップ、貸しギャラリーを借りて年間12ケ月。1日平均10万円で720万円。
卸しで80万円以上。
これでやっと1000万円。
勿論、お店を経営していたり、アシスタントや販売スタッフが居れば2000~3000万円が必要になります。
これをたった一回ではなく、数年継続出来て初めてプロと言えるのではないでしょうか。
なので、自身の作品で年間1000万円以上の売り上げを3年以上継続して、年収400万円以上稼ぐまではプロの卵なのだと思います。
僕の場合は、1998年の8月に制作を始め、1999年の8月から恵比寿アトレでワゴンを借りて、年商3500万円ぐらい、2001年春から、(旧)新宿マイシティー、2001年10月から2003年3月まで新宿ルミネで、年商4000~5000万円前後。でも、銀、金の原価がその間に3倍程度に値上がりし、人件費負担が大きく僕の収入は年500~700万円でした。
その後、アシスタントが1~2名になり、やがて僕一人になり、残念ながら今に至ると言う訳です。ハハハッ(汗)
長くなりましたが、一般的にあの人は作家として一流だと判断していただくには年収3000万円。売り上げで年1億円ぐらいかなと。
プロ作家を目指す皆さんの目安になればと思います、焦らずに頑張りましょう。